「雪稜」タグアーカイブ

2011.01.08-09 赤岳主稜

平成21年2月、ガイド山行で行った赤岳で文三郎道を登っているとガイドさんに
「あそこも登れるんですよ」と指差された。
見ると岩壁に人が張り付いている。
その後、頂上小屋でそのPTと出会ったが、当時ロープの扱いも知らなかった自分にとって
フル装備のアルパインクライマーは別世界の人間に見えて同時にバリエーションルートへの憧れとなり、
山岳会への参加を考えるきっかけになった。

あれからずっと憧れ続けていたあのルートを
今回、自分たちだけで行くことになった

8日赤岳主稜、9日小同心クラック山行報告

8日
0540 美濃戸口
0820 赤岳鉱泉
0930 鉱泉発

天気が持つのは初日のみという予想だったので初日に時間のかかる小同心クラックをやる案だったが
時間通りに登攀しても帰りはヘッ電歩きとなるためPT内で話し合い赤岳主稜に決定。
BCとなるテント設営後、登攀準備をして出発。

1000 行者小屋
1110 赤岳主稜取付き
既に先行PTが1組取り付いているのが見える。
文三郎道からトラバースして取り付きに到着。
特徴的なチョックストーンがある1P目だ。

オーダーは、M&U、A&(会員外)となる。
憧れだったルートということでUさんはリードを全て任せてくれた。先頭PTも私達となる。

しかし・・・難しい。
結局1P目凹角のチョックストーンは残置スリングでA0。
他の皆は、切り抜けたらしく後で「Tシャツに素手なら登れたよ」と言ったら「そりゃそうだ!」と皆で笑った。

好天の中、振り返れば素晴らしい景色が見えて横を見れば昔の自分のような一般登山者からの
眼差しがあるのにただただ、目の前のルートファインディング、ロープワークに集中する。
先頭の自分のミスで内田さんはもちろん、4人全員の行動に支障が出てしまう・・・。
「あ~すれば良かった」「こ~すればもっと早かった」という思いばかりが頭を巡った。

3~4P目辺りから先行PTにすっかり追いつき待ち時間が多くなってきた。
他のルートでも知っていれば抜けるのかもしれないが向こうも自分も初めてのルートなので大人しく待つ。
フォローの女性には終了点で会う度に「スイマセン、スイマセン」と言われた。

核心部、私は、直前に華麗に抜き去っていったガイドPTが登った右のルートを選ぶ。
稜上に出てUさんのビレイが終わると後続A、PTはセオリー通りに凹角を上がってきたので一枚パチリ。
稜上のミックス状の斜面を上がって最後の岩場を越えると終了。

1610 山頂
日がすっかり傾いている。途中から出てきた風も山頂付近ではさらに強くなっていたので
写真を撮ると足早に下山開始。

1730 地蔵尾根を経て行者小屋地蔵尾根をシリセードで下りたが行者小屋からはヘッ電が必要だった。

1800 鉱泉着
無事にBCへ帰還。
肉体的にも精神的にも充実したと同時にとても疲れた一日だった。
食料担当を引き受けてくれたUさんの料理はとても美味しくて、皆はお酒が進んだようだった。

9日
朝飯が旨い。恐るべしUシェフ。恐るべしオートミール。

0720 鉱泉発
曇り空。目指す小同心は厚い雲の中だったが予定通り小同心クラックへ出発。
Uシェフの夕飯と朝飯が効いているのか疲れは無し!
急登をグイグイ上がっていく。

0900 大同心基部
完全に雲の中。吹雪。
基部まで来ているのに、目の前の大同心が見えない。
当初「せめてトラバースして小同心取り付きまで偵察を」という考えもあったが、全員一意で敗退決定。

0930 鉱泉着
アイスキャンディを登る。
経験を積んできているAさんは動きが変わってきた。
本日中の撤退が決まり、夕飯の餃子鍋を昼飯として調理するUさんの食材さばきも変わってきた。
やっぱり旨い・・・鉱泉で会った山仲間は隣で何だか高級そうな鍋を作っていて「食べっこしましょう」と話していたが、
気づいたらこちらの鍋は完食していた。
Uさん、ごちそうさまでした。

1600 鉱泉発
1730 美濃戸口
いつもの延命の湯に入り中央道にて帰宅。

憧れの赤岳主稜で、報告も長くなってしまったけれど当然ゴールではなくスタートでした。
冬期バリエーション、アルパインクライマーとしてはまだまだ未熟で勉強すべきことは沢山あると痛感した山行でした。

まずは文三郎道を上がる 主稜取り付きにてU、Mペア

 

主稜を登るUさんAさん 核心部を越えるIさん

 

翌日の小同心クラックは吹雪の為敗退

2010.12.4-5 阿弥陀岳南稜

参加者:Ichiro,Mataro(記)

去年、吹雪で敗退した阿弥陀南稜へのリベンジです。

12月4日
6:30都内合流後、中央道を走る。 天気は快晴。
でも「周囲は快晴だけど、八ヶ岳だけ雲を被ってる」なんてしょっちゅうなので、最初は半信半疑。
その後、八ヶ岳がハッキリ見えた時点で二人とも歓声。
富士山から南アルプスから八ヶ岳までハッキリ見える。

軽食&トイレに寄ったPAにいた十数分の間に雲がかかってきて一時は不安になったが
結局、2日間で雲を見たのはコレが最初で最後だった。

10:30出発
数日前に降ったであろう雪で、舟山十字路もうっすらと雪は積もっていた。
旭小屋からでは無く、今回も直接稜線に取り付くルートを選ぶ。
13:00 立場山
朝は風が強かったせいか樹林帯でテントを張っているPTが多い
今はほぼ無風のため、このまま進む。
途中、テントを張っていた先行PTを出会い談笑。
「最高の景色ですね」
14:40 P1
目の前の南稜、右手前に赤岳、右後方には編笠山と権現岳。
振り返れば、遠くに富士山、南アルプス、中央アルプス北アルプスと日本の名峰達がズラリ。

P1P2の間でテントを張り幕営準備。
夕焼け時には、すぐ裏のP1へ行きまた絶景を楽しんだ。

12月5日
素晴らしい日の出を眺めてからの出発。
この日は先頭PTとなる。事前の調べ通りP2、P3と左から巻く。

08:00 P3取付き
核心部のP3にてロープを使用。
取り付きにはリングボルトにワイヤーがかけてあった。

1P目Ichiroリード
ビレイポイントは風も無く寒い思いはしなかったがルンゼ内は風があり
ビレイ中は寒くコールも通らなかった。
程よく雪のついたルンゼを登っていく。

2P目Mataroリード
トレースは左の草付きに向かっているが引き続きルンゼを上がる。
ピックを刺し、足を蹴りこんで快適な登りで殆どが雪面だったが、
氷あり、草付きあり、岩ありと楽しい箇所だった。

終了点でロープを解いて、再度稜線歩きとなる。
P4を右に巻いたあとは、360度絶景の山頂へ。
09:30 阿弥陀岳山頂

一向に雲が出る気配の無い中で長めの休憩を取って
この貴重な快晴の景色を楽しんだ後、御小屋尾根にて下山。
13:30 舟山十字路

去年は自身の初アルパインで「付いていくだけ」で天候に恵まれず敗退となった阿弥陀南稜を
今回、Ichiroさんと二人で2日間爽快に登れたのはとても良い経験となったと思い
今冬シーズンの初山行としても素晴らしい内容になった。

P1から阿弥陀岳を望む P1からの夕日

 

夕焼けの阿弥陀岳 山頂から見る南稜

 

山頂にて

2010.05.03-05 鹿島槍ヶ岳 東尾根

参加者:W,U,I,M

5月3日
11:00 信濃大町駅で集合
12:00 大谷原登山口
林道を歩いた後に、東尾根へと取付き。急登で順調に高度を上げて一の沢の頭を経て
17:00頃に二の沢の頭の少し手前で幕営。

5月4日
02:30起床
04:50出発
二の沢の頭を経て、雪面のトラバースと急登が続く。
07:00第1岩峰へ取り付き。手順も含め、登攀に時間を食う。
10:00第2岩峰取り付き。確保されている安心感もあり特に問題なし。しかし、同じく時間はかかった。
逆に、この後のナイフリッジは恐怖となる。
「いま横から突風が吹いたら」「足元の雪が崩れたら」と思うと仕事中以上に腰が低くなった。

12:30北峰着。
握手と写真と食事を済ませた後、出発。
ひたすら雪壁を登り13:40南峰着。
冷池山荘へ向けて(ビールへ向けて)下降開始。
16:00頃、山荘着。
極寒の受付でとにもかくにもビールを飲んだあと幕営。U、Iの両名は4日目のテン泊。
温かい布団を選んだ渡邉さんの部屋へお邪魔した後早めに就寝。

5月5日
何だかんだで7:40出発。赤岩尾根の下降を開始。
剱岳やら踏破した東尾根を見る度に写真タイムとなる。
雪壁もナイフリッジもない尾根だったが雪の落とし穴があちこちにあり、仲良く全員一度は落ちるハメに。
12:00大谷原着。無事下山。
恒例のお風呂で身体を癒した後、帰宅。

痩せた稜線上では各自、間隔を空けて進む。 痩せた稜線上では各自、間隔を空けて進む。

 

大町の夜景。 第一岩峰

 

第二岩峰に取り付くWさん 第二岩峰登攀後。北峰へ向けてもう一息…

 

ナイフリッジ。落ちても「命は」残るそうです。 北峰着

 

南峰着 3日目。快晴の中、剱岳を望む。

 

そこかしこに「雪の落とし穴」が。 l無事下山。全員で握手を。