「沢登り」タグアーカイブ

2022.7.23-24 多摩川水系一之瀬川:竜喰谷

参加者:T、S、I、T

渡渉を終わり一番初めの滝。
竜喰谷は滝が多い。
一部ロープを出しながら登っていく。
きれいな滝が多い。
核心の滝を超えていく。カムは決まる。

ようやくテンバ。たいらできもちがいい 。諸々乾かす。
そして今日の反省会???焚き火と酒がうまい。

翌日もどんどん滝を超えていく。
そして作業道へ出た。
作業道&登山道経由でアスファルト道に出る。

2020.9.19-22 北アルプス:赤木沢・薬師沢右俣

参加者:Tさん、Kさん、T君、T

かねてから行きたいと思っていた「赤木沢」。B会の方に誘われ行ってまいりました。

入山は折立から。車移動途中激しい雨の中、折立キャンプ場に到着。こちらのキャンプ場は最近クマが出没するということで閉鎖になっていた。

9/19 8:00どんより天気の中出発。モチが上がらない。人気の山が連なるということで登山者も多い。重いテン泊沢装備を担ぎ息も絶え絶え、、森林限界あたりから晴れてきた。

12:00本日は薬師峠キャンプ場まで。無事に太郎平に到着!乾杯!!!明日の英気を養う。

9/20 本日は赤木沢。4:50出発まだ夜明け前。ぼちぼちと薬師沢小屋に向かい歩いていく。

7:00薬師沢小屋からの黒部川への入渓点。身支度をする。他に入渓するパーティはいない。釣り人がいた。

黒部川を遡行し小一時間ほどで赤木沢入渓地点。

さあ赤木沢を遡行開始!「全般的に赤い苔(けっこう滑る!)が多いから赤木沢なんて言うのかな~」とか考えながら登る。

途中何か所も見ごたえのある美しい滝が。なるほど人気なのもうなずける。

そして今回の目玉の大滝が!!でかい!しっかりと巻道がついている。

ほどなくしてツメに入ってくる。やぶ漕ぎもなく歩きやすい。

11:00無事に登山道へ抜けあとはひたすら薬師峠キャンプ場を目指す。もちろん途中太郎平で給水も行った。

9/21 本日は薬師沢右俣5:50出発。あまり記録がなく登山体系を手掛かりに入る。6:50薬師沢の入渓地点。

全般的に滝もほぼなく何て事のないの遡行となる。天気がいいのが気持ちいい。

一番印象的だったのが薬師沢右俣のツメ!行けども行けども長い長いガレ場。途中左手に薬師小屋が見えてくる。あっちへワープしたい。

なんだかメインディッシュがガレ場のツメ感が否めないが11:30無事尾避難小屋へ抜け荷物をデポし12:00薬師岳山頂へ。

ダッシュで駆け下り、テンバへ到着。そのまま太郎平小屋へラーメンビールを求めに行く。

13:40ギリギリ間に合った~!太郎平小屋名物「行者ニンニクらーめん」!うまい!!

あとは毎度のごとくテンバに戻り最後の宴会。翌9/22折立キャンプ場へ向かい帰京した。

2020.7.12 尾瀬:中ノ岐沢小淵沢

メンバー:T君、S姉、Iさん(会外)、T

梅雨の合間を縫い小淵沢へ行ってきました。大清水から林道をひたすら歩き、登山道へ。

1:20で入渓点、準備を始める。

小淵沢は癒しの沢と言われてると聞いた通り、ナメの連続で楽しい!

一応梅雨で水量も多いはずなので「安全第一」をモットーにチョットしたところでもお助け紐やロープを出す。

最後の直滝10mは右から巻く。

後は東北の沢らしく緩やかな遡行で13:10無事登山道に出た。

2020.6.27 丹沢:中川川水系モロクボ沢

メンバー:Iさん、T君、Aさん(会外)、T

コロナでブランクがあり久しぶりの山行、とりあえず感を取り戻すべく西丹沢にやってきた!入渓点まで歩く。

初めての沢!!!Iさんがんばる~!靴が気に入らないと嘆きながら意外とシッカリついていく。すごい~

しかし山はいいね~~~!核心の大滝を巻きどんどんナメを登っていく!

最後の詰め!尾根を上がり登山道へ~

無事畔が丸までたどり着きました。

あとは一般道を下山。無事に西丹沢自然教室へ!

2015.10.24 南紀 熊野川水系小口川 滝本北谷遡行

南紀。

遠い。

ガイド本では大阪からのアプローチが5時間とされている。
熊野川水系小口川源流域。

奈良の五條からR168を十津川沿いに延々と走らせ川の名前が熊野川と変わる
熊野川町日足の集落で県道44号に入り方向感覚がなくなるようなつづら折りの山道を
さらに1時間。
地図を見ただけで単独での山行を想像すると滅入る。

絶悪なアプローチを越えたこの深山幽谷に
平家の落人が隠れ住まっていた。

追手から逃れ逃れてやっとのことで見つけた安住の地に
敗残の彼らを慰めた何かがあるのだろう。

この24日~25日、滝本の北谷と本谷へのお誘いをいただいたとき
単独では足の向ける気がしなかったこの南紀の隠れ谷に行ける千載一遇のチャンスとばかりに
乗ってみた。

【山行実施日】2015年10月24日
【天候】雨のち晴れ。遡行開始時気温:13度
【メンバー】Chanko他4名
【装備】フェルトソール・8x30mロープ

 

23日PM20:00
近鉄喜志の駅でK谷さんとTN崎さんにPick Upしていただき、まずは
富田林のスーパーで買い出し。それぞれめいめいに3日間の酒と糧秣を整える。
五條を過ぎてR168をうねうねと遡り途中2か所ほどダムサイトで休憩を入れながらも
23:30にはBCとする道の駅 瀞狭熊野川に到着した。
ささやかな入山祝いをしているところにAM1:00頃 E崎さんとY中さんが到着。
AM02:00には就寝し、翌朝AM07:00出発として幕中にめいめい潜り込んだ。

夜中、そぼ降るような雨が空気を湿らせる。

翌朝、垂れこめた低い雲が空に乳白色の幕をかけていた。
すっきりしない天気ではあるが崩れる予報ではないので朝食のあとBCを撤収しまずとにかく
出発。日足集落手前から県道44号にのり延々と1車線の道路を小口川に沿って走る。
1時間で滝本の集落についた。

廃校になった滝本小学校と発電所の中間点当たりの5~6台は止められる駐車地に車を止め
身支度を整える。

08:30頃、駐車地を出発

アプローチの道沿いは秋の気配

夢のあと

引土橋の手前から小学校のわきを抜け、林道に入るが、林道は荒れており車両通行止め。
時折大きな崩壊が迫ってきている。

40分ほどで林道の終点になるが、すぐに大釜を従えた筆藪の滝が眼前に。

K谷さんは釜を泳いで滝身の右側に取り付く。
私は釜を大きく右から回り込み左岸の側壁をトラバースしてとりつく。
中段のテラスに乗り込んでから後続を肩がらみで引き上げる。

K谷さんも上がってきたのだがここからが悪い。
ロープを出してTN崎さんがTOPで突破しK谷さんが続く。
私もロープを出してE崎さんを確保。E崎さんに突破をお願いする。
E崎さんの突破を待って中間八の字でY中さんが続く。
私はラストで回収しながらなんとか落ち口チョイ上にたどり着いた。
ここでいきなり1時間かけてしまった。

乗り越してしばらくは巨石に苔むしたゴーロが続く

やがて本流が大きく右に曲がるその正面に越前谷から落ちる猿手滝がかかる。

本流にかかる部屋滝は両岸を険しい側壁に囲まれた瀑布でまったく手が出ない。
巻きあがる前にしたから釜の前まで出て様子をうかがう。

猿手滝手前まで戻り本流右岸を巻きあがる

と、ナメに飛び出した。

うねるような変化がある、美しく楽しいナメの感触を楽しみながらひたひたと歩む。

そろそろ日が差してきて右岸の側壁が青空を指すさまも雄々しく見えるころに

さらり、とろりと流れる溜湾殿滝。
釜の淵で昼食とする。

昼食を終え、溜湾殿滝を左岸から小巻にあがる

苔むした取水口の跡を左岸に見る。

ゴーロ帯のインゼルを辿りながら進むと見事なケヤキ原滝が現れた。30m。

ついさっき昼食を取ったばかりなのにまた一本立てる一行・・・・
右岸を巻きあがる
ちょっとしたナメのあとすぐに屏風滝。浸食された釜の深さに驚く。

右岸の踏みあとを巻きあがり

再びナメのあと

亀壺の滝

左岸から巻きあがった上が再びナメ。

側壁は早くも傾き始めた陽に照らされてきた

長い長いナメをひた歩むと

やがて遡行終了点の取水堰に行き当たる。

ここでコーヒーブレイク

午前中の雲はすっかり消え、明日に期待を持たせるような秋の青空が高く広がる。

この取水堰からは水路の上の巡視道を行き、南側の尾根を乗り越し

ホタバ谷に沿って再び水路の出口わきに飛び出す。
この出口が滝本本谷の出合いとなるのだ。

本谷を下降しながら左岸の踏みあとを辿ると
分岐の案内表示が出る。

大べら上道方面に本谷川を渡り本谷右岸に沿った踏みあとを辿りながら
ナメラゴ滝上の巡視道を伝い下山。

これがかなりわかりにくかった。
途中から踏みあとが消え、本来であれば本谷の燈明滝を巻き下ってから再び降渓し平維盛住居跡すぐ下
右岸の発電取水口から再び整備された巡視道に入るのだが、我々は不明瞭な斜面でのいやらしいトラバースを続け陽も暮れかけたころに本谷のコッペ滝右岸斜面から、ようやっと20mほど眼下に巡視道を見つけることになった。

結局、きれいで歩きやすい道ではあるが
予定外のヘッデン下山となってしまった。
ともあれ、美瀑・豪瀑とナメが連なり変化にとんだ南紀の渓をこころゆくまで満喫。

南紀、侮りがたし。

山の神様、ありがとうございます。

 

2015.10.11 台高 宮川水系 大熊谷第2支流(東俣谷)遡行 

9月から大阪のとある沢登り専門(?)の山岳会の山行に出入りするようになっている。

これから先も長く沢を愉しんでいこうということになると、当然今の自分の技術レベルのブラッシュアップも必要だしそれ以前に自分自身の技量を客観的な評価に照らしていくことが必要ではないかと常々考えてはいた。今回はその会の方々と初めて沢に入ることとなった。

「台高の東俣谷」という連絡があったのは10月7日だった。
ガイド本に載っていない谷の名前なのでスマホで検索して記録を当たってみると
KU会と「さわナビ」の記録ぐらいで遡行記録は検索結果の1P目くらいしかない。
しかしながら、かの「さわナビ」では

『2本の大滝には絶妙の巻き道が付けられているがそれ以外の場所は両岸高い壁でルート取りを間違うと厳しいものがある。それと前半に出てくる2段30M滝は下段は登れても必ず先で詰まるので最初から無理せず巻いたほうが無難だろう。遡行難度は2級+程度だが台高らしさを遺憾なく発揮しており、お勧め度は最上位に値する名渓だと思う。』とある

お勧め度、最上位。

沢の味わいを酸いも甘いも嚙み分けた、あのさわナビの管理人 亀さんをして
こうも言わせる秘めたる魅力に否が応でも期待は高まる。

10月10日夜22時、子供たちを塾に迎えにゆき自宅で下すと

渓道楽親父はそのまま車を一路集合地へ走らせる。
今回ご一緒する YS田さんとYN田さんはすでに集合地点である
カラスキ谷公園駐車場で小宴の最中であろう。
自宅のある大阪は八尾から近畿道⁻南阪奈道を経て166号で高見山をくぐり三重の飯高町に入る。
栃川で422号に入り湯谷川沿いに走る。
栗谷口で鋭角に転じ宮川沿いに遡ること20分、
カラスキ谷公園駐車場には0:20頃に到着した。
丁度YS田さんとYN田さんは車中泊の準備をされていた。
公園駐車場は他の登山者と思しき車も含めいっぱいになっていた。
※このパーティが関西の沢では高名響く『R畑さん(囲炉裏)』のパーティだと翌朝知った。

なにはさて、私もYN田さんの車の後ろに駐車させていただき
車中泊の準備整え入山祝いの一献。

後ろのハッチを開け、しとしととした秋雨のまとわりつくような冷気に
身を清める思いで静かに盃を重ねた。

翌朝は明け方まで昨夜からの雨は少し残っていたが、眼前の宮川には増水も濁りもなく
まったくの平常コンディションと思われる。

 

【山行実施日】2015年10月11日
【天候】雨のち曇り。遡行開始時気温:覚えてません
【メンバー】Chanko,YS田さん(他会)、YN田さん(他会)
【装備】フェルトソール・8x30mロープ

朝食を済ませると、私の車は駐車場に置いたまま
YS田さん車とYN田さん車で一本西にある水谷に沿った八知山林道のCo520の橋まで車を一台
デポしに上がった。

YN田さん車をデポし、YS田さん車で入渓点へ。

入渓点対岸が即駐車場。
まったく無駄がないアプローチ。

渓に入るとのっけから小滝が連続する。

くの字2段15mは水線右を快適に

2段30mはツボすぐ右岸から木の根をつかみながら簡単に巻く

やげて見えるは不動滝2段60m

左岸を巻く。わかりやすい。落ち口の高さで左にトラバースする踏みあとを拾うと
ドンピシャで落ち口に。

まるで、真っ白な宇宙に水が吸い込まれていくような不思議な光景。

20分ほどで次の大滝、夢幻滝3段50m。

右岸ルンゼより巻く。
途中1手2手がすこしいやらしいが
抜けて右へトラバースするとこれもドンピシャ落ち口である。
YS田さんと『巻きまでムダなしとは、この渓、恐れ入った!』と笑う。

滝上しばらく開けた自然林の疎林だが
ほどなく両岸が立ってきて高い嵓に押しつぶされたような廊下に入る。
廊下の奥には見事な巨岩がインゼルのようにはさまったチョックストーン滝が落ちていた。

右手から落ちる滝の滝身右手を苔に注意しながら登り

滝上に出る。

山仕事の小屋跡がありCo540の二股で左股を選ぶ。
苔はさらに深く、鮮やかな緑

源頭の趣を感じさせる渓を歩く

水枯れ寸前のゴーロで一本立てる。
上に白く見えるのが、路肩が崩れた林道。

入渓3時間で林道へ退渓。Co850

Co885あたりで林道をはずし
南東へ流れる尾根芯を拾いながらつづら折りになった林道のショートカットを狙う。
270mを下る。

退渓から1時間ほどで車をデポした水谷橋へ。

車をデポすることで長い長い林道歩きの必要もなく
入渓から退渓までコンパクトな中にぎっしりと楽しく美しい要素が詰まった渓でした。

紅葉はまだ走りでしたが深まった時にもう一度来たい。

それだけではなく、新緑の頃、シーズン前の足慣らしにぴったりですね。

しみじみ、良い渓でした。

山の神様、ありがとうございます。

 

2015.09.19~09.22 大峰 北山川水系前鬼川孔雀又谷右俣遡行~明星ヶ岳(後編)

アメシ谷下の右岸に張ったツェルトの下で目覚めると既に下手の幕場にビバークしていた
4人パーティの炊煙が立っていた。6時半。

のそっと起き出して焚火の燠を起こす。

昨夜の残りメシに味噌を放り込み、沢水でゆるくして雑炊のようにして温める。

梅干しをしゃぶりながらもそもそ食べていると、下のパーティが

「おさきに」と上がっていった。

ツェルトをたたみながら見上げた空は高曇り。

風はない。

暑くも寒くもない快適な気温。

ツェルトとシュラフをたたんでザックに押し込み、まだ冷たい靴下を

焚火にあてて温めているうちに、マットの上で寝入ってしまった。

再び目が覚めたのは8時(笑)

こりゃさすがにいかんな。

こんどはそそくさと荷をまとめ、装束を整えて出かける。

いくつかの小滝をやりすごしながら進むと谷の両岸はやがて高い嵓が目立ち始め
大きな滝の予感を漂わせる。

15mないが、なかなかに立派な滝が行く手をふさいだ。
滝身左手のブッシュのコンタクトラインを登れなくもないが
右岸にすぐ階段状のルンゼが落ちているので、狭いとこ好きな私は
迷わずこのルンゼを登って巻く。

続いて、20mほどはある立ったナメ滝

滝身周辺は手が付けられないので、これまた右岸のルンゼに活路を求める。
このルンゼは落ち口チョイ下くらいの高さで右手からガレを入れている。
このガレに転じてから小尾根のようになった地形を乗り越すと、容易に滝上に出た。
緩い斜面にミズナラやブナ、ヒメシャラが茂る明るい林。

右手に見える沢床は傾斜を増して巨石が積み重なっている。
重荷背負ってボルダーをウロウロするのも煩わしく、巻いたままの斜面を
トラバースしながら高度を上げてゆくことにした。

階段状30mに差し掛かる手前で谷は伏流の様相を見せ始める。
ここで、詰めに備えペチャポリに水を満たす。
やがて見えた階段状30mは快適。

ぬめりにだけ気を付けながらワシワシと登ってゆくと
規模の大きな崩壊地に飛び出す。
右岸からも左岸からもかなり大規模にガレが押し出してきている。

日が差してきて白い岩肌に反射する。暑いくらいだ。
最後に40mが見えた時には少し日が陰ってきていた。
この滝は「枯滝」とガイドブックに書かれていたが

あれ?

しみ出し以上に水が流れている。

乾いたリッジ状を選んで登る。先ほどより少し立っているが、手足豊富。

最後は水枯れを確認し、左岸の尾根からさらにもう一つ向こうの尾根に
トラバースし、

退渓、詰めに入る。
ふか、ふか、とした苔が足に優しい・・・・

ひと登りして12:30、孔雀岳北の稜線上、奥駆道に抜けた。

霧が濃くなっている。風は緩やかで、かえってこの霧を幽玄に漂わせる演出
まずは1本立てる。旨い。

大休止しながら装束を解き、トレッキングシューズに履き替える。
さて。
本当は昼前にここに抜けて今夜は狼平、と決めていたのだが
時間も2時間押し、それに意外と疲れてしまったのと、なんだか股ズレが痛くて
そんなこんなでかなりめんどくさくなったので
時間は早いが、ここから北に一番近い楊子ヶ宿小屋で泊に予定を変更することにした。

14:30に到着した小屋は非常にきれいな小屋であった。
私が入った時には先行は1名。この小屋と行者、狼平らの3つの無人小屋を
ボランティアで月に一度整備して回っている横田さんが入っておられた。
やがて三々五々と登山者が集まってきた。

単独者同士の静かな語らいと、鹿の鳴き声、ろうそくの炎のかすかな揺らぎ。
小キジを撃ちに外に出ると、雲が切れた空は張り詰めた空気をまとい
漆黒のスクリーンに満天の星をちりばめていた。

流れ星、ひとつ、ふたつ。

残った酒を干しシュラフに潜り込む。

夜が明けた。

昨日の時点で、今日、明星ヶ岳から天川河合に降りる腹で居たので
朝をまったりと過ごすことにした。

宿泊者はそれぞれに小屋を後にする。

お世話になった同宿の方々と。

ありがとうございました。

私は少し残って、預かったごみを小屋前のファイヤープレイスで燃やして処理する役を
買って出た。

朝露がさわやかに輝いてるうちに稜線を歩き出す。

七面山南壁が見える。

秋の空は高いなぁ。

お。迷平

明星ケ岳手前で東側からガスが上がってきた。

ガスで眺望がないことを嫌う人も多いだろうが
私はガスあってこその大峰だと思っている。
てか、ガスのない大峰なんて、大峰じゃない。

明星ヶ岳を西側から巻き、弥山辻からよく整備されたレンゲ道を
ゆるゆると下る。
奥駆道が修験の道であるなら、このレンゲ道はかつてこの背骨のような山脈を
横断する生活の道であった。

シラビソの南限となる学術的に貴重な樹林帯でそうです。

標高を下げると、どこか人懐かしい雑木林の趣に。

山道はやがて崩壊した坪ノ内林道に沿って下り
門前山から一気に河合の集落に駆け下る。
役場の上手の橋を渡り

短い旅は、終わった。

洞川温泉に立ち寄り、旅の垢を落とした後

アメノウオで旅の余韻に浸った。

大峰の奥深さに、しみじみ、魅了された旅となった。

山の神様

ありがとうございます。

2015.09.19~09.22 大峰 北山川水系前鬼川孔雀又谷右俣遡行~明星ヶ岳(前編)

旅。

沢をたどり
稜線を歩き
嶺の向こう側へ抜ける。

山並に隔絶された此方と彼方を自らの足で結ぶ。

縦走ではなく、登攀ではなく。

旅。

旅がしたかった。
幕営装備を担ぎ、短くはあるが山中にかりそめの庵を結びながら「山で生きる」ことの
実践に、私は私なりに登山行為の意義をみる。

年内にとれるまとまった休みとしては最後だった。
冒頭で述べたようなスタイルの山旅は、単独の場合車のデポなどできないので
当然公共交通機関になる。

公共交通機関でのアプローチが悪い北山川水系をターゲットに大峰を西に越えるという
ルートを取るなら、このシルバーウィークが最後のチャンスであった。

直前まで池原まで足を延ばし、池郷本谷上部まで分け入り嫁越~西へ下って滝川赤井谷を千丈平か
迷っていた。

最後はガイド本のグレードで決めたというのもなんだか俗っぽいが
この際だから中級と目される沢をきちんとやっておこうとの思いから前鬼川に。
それに巷間で噂の前鬼ブルーは是非に見ておきたい。

【山行実施日】2015年9月19日(前夜発)~9月22日
【天候】晴れ(20日)。遡行開始時気温:覚えてません
【メンバー】Chanko,単独
【装備】フェルトソール・8x30mロープ・三つ道具

藤井寺から近鉄で上市へ。
30分ほどの待ち時間で大淀バスセンターから数人のおばあちゃんを乗せた小さなバスが
とことこやってきた。
16時半。好天の一日は赤い夕陽の最後っ屁で山を照らしながら暮れゆく気配を匂わせる。
のんびりとしたおばあちゃんたちの会話を車内に漂わせ
バスは川沿いの国道169をすすむ。
杉の湯で長い休みをとったあとふたたび下桑原方面へ動き出したバスは
18時40分頃に前鬼口のバス停で私を降ろした。私は、最後の客であった。

林道入り口の「かどや」の軒先に灯るすすけた明かり以外の灯はない。

ヘッデンをつけて、ここからとにかくできるだけ入渓点に近いところまで今夜は進み
幕とすることにした。

ときおりテンが闖入者の様子を伺いにちろちろと遊びに来る。

1時間半あるいただろうか。
不動滝への降り口を分けてすこし上に行ったあたりに
焚火が見えた。
ちょっとほっとしたし、焚火があるということは適地なんだろう、面倒だし畳一枚分でも
スペースがあれば同宿お願いしようと近づいて声をかけた。
※びっくりさせてごめんなさい

林道の谷側に張り出した台地状の駐車スペースに車を停めて焚き火を肴にしていた二人の男性のご厚意に甘え焚き火に当たらせていただき、ビールをご馳走になった。

揺らめく炎

満天の星空

W田さんとK下さんは大峰の溪をあちこち渡り歩き写真を撮るのがご趣味。
この日も滝川から転戦し明日前鬼に入られると。
往年の凄腕クライマーであるW田さんと山談義、
大峰の沢を釣り歩いているK下さんとの釣り談義に花が咲き
気付くともう午前0時を回ろうとしていた。

風上側に車を置いた焚き火との間に
寝床をしつらえさせていただいた。
降ることはない。幕は要らない。
満天の星空が天幕。

滝の音がゆっくりと遠くなっていった。

翌朝目覚めると空高くうろこ雲が遊弋していた。
気温もさして低くない。絶好の沢日和か

御二方はまだ車の中で眠っているようだ。
一宿のお礼に先ずは焚火の熾きを目覚めさせる。

ほどなく車から出てきたW田さん、K下さんとお茶を飲んで一服してから、先に泊地を辞した。
お世話になりました。
ありがとうございます。

黒谷出合上部の入渓点まで林道をたどる。
どうどうと流れ落ちる不動七重の滝下部を望む。

整えられた林道終点がちょうど入渓点であった。

沢床に降りてみたが、まぁ
あまりぱっとしない。

沢支度を整え、清冽な水を手水に浄め、いつもの儀式
2礼2拍手1礼

山の神様、今回も無事に実りある山行ができますよう、御見守りください。

黒谷をまずは降渓する。本流の出合まではすぐだ。

エメラルドの輝く流れを漫歩する。

渓は麦に大きく向きを変え、そのとば口に2段10mが懸かる。

右手から簡単に登ることはできる様だ。
ただ、この落ち口で左岸から右岸への渡渉があるという。問題は水量と水勢だが・・・・
しばし思案しているとW田さんとK下さんが追い付いてこられた。
W田さんの見立てでは本日の水量では落ち口渡渉はリスク高いので
すこしもどった左岸から巻き上がるという。
わたしもご一緒させていただいた。

巻道は左岸の泥付ルンゼの右岸に「これか・・・?」と思しき踏み跡があったが
登りきる手前で崩れており腐った倒木が浮いている。
「こりゃぁ嫌らしくなっちゃったもんだなぁ・・・」と
W田さんがロープを引いて先行しK下さんを確保してあげたあと、
私はW田さんがしっかりした灌木にワンポイントでかけてくれたスリングを掴んで重荷を
背負った体を引き上げた。

左手に滝の落ち口を見ながら巻いていくと
「なぜわざわざ落ち口で渡渉するか??」という理由がよく分かった。
滝の右手岩場を這い上がったところですぐに立った岩場に阻まれその先が淵となっている。
抜けても岸が絶妙にナメており足場が悪い。対してあちら側の右岸はまだ足元がマシである。
問題はやはり渡渉ポイントの水勢と、沢床がナメているので下手をすると水に持ってかれて
しまうことだろう。

巻いた先の急斜面をちょっとした懸垂下降で降りて沢床復帰。いずれにしてもこちら側は
ナメた傾斜のある岩盤なので右岸に渡渉をするのだがひざ下程度の渡渉で済むので落ち口よりは
遥かに安全だ。

わたり切って上流を見ると左にカーブしながら渓は極上のナメを連ねる。

ここで、この極上のナメでの撮影をお目当てにやってきた御二方とは再びお別れし、
私はさらに歩みを進める。

ありがとうございました。

栃の実が、ポットホールの中で踊っている。
実りの季節を感じる。

やがて右岸から三重滝の合流点が見えるあたり、あまたの湧水が本流に合わさる光景は
壮観である。

湧水の清冽さに現れながら左岸をたどると三重の滝に上る登山道と合わさり
垢離取場に導かれた。

一本立てながら、沢日和のお恵みに深く感謝。
淵に身を沈め拝む。

深仙谷を分けると目の前に五百羅漢を従えて神座とも言うべき岩塔がそびえていた。

夜になると神様が戻ってくるのだろう。
そろそろ幕場を探すことにしよう。
Co880で孔雀又左谷を分けてからすぐに植林小屋跡が右岸にありその
すこし上に聖地が必要ないくらいのおあつらえ向きな台地があった。
すぐ上手に大きな岩があり、夜半の沢嵐も避けられるうえ
後背は傾斜の緩い斜面になっている。
沢床からは1m以上の高さもあり薪も周囲には豊富だ。
ここまで実際は思ったよりも時間がかかってしまった。

先ずは薪を集め、幕を張る。

一服

飯を炊く

シンプルで贅沢な時間が流れてゆく。

独り
吾れ渓中に在り。

2015.08.02 鈴鹿西面 野洲川水系 元越谷遡行

朋の遠方より来る
亦た、うれしからずや。

東京の岳友さんと、昨年白毛門をご一緒した先輩が関西に来られるとのことで
なれば灼熱地獄の関西でせめてひと時の涼を共に過ごしましょうということになった。
お二人とも山岳登攀をやっておられ、記録などで技量の把握はできている。

先輩はお仕事で出張帰りの山行になるので、なるべく帰路新幹線の駅に立ち寄りやすく
お疲れの体をいやせる遡行がよいな・・・
私も先週は東京での出張で廃人になりかけだし、とっぷり水に浸かって重力からの解放感が得られる
ルートがよいか・・・

で。
今回も鈴鹿に。
西面の美渓、元越谷である。
遡行時間もわりに短く、途中焚火休憩などする時間もとれそうだ。
せっかくだから久しぶりの「沢そうめん」を楽しんでいただくことにしよう!

【山行実施日】2015年8月2日
【天候】スカッ晴れ。遡行開始時気温:クソアツ
【メンバー】Chanko、S先輩、Akiさん
【装備】フェルトソール・8x30mロープ

前夜、JR久宝寺駅で待ち合わせ、2時間ほど車を走らせてR1は滋賀県土山町の道の駅の駐車場へ。
早速、入山祝いの宴会を軽く。
少し蒸すが雨の気配はないので、お二方には車中でお休みいただき、私は車の外にマットを広げ
ゴロ寝する。

翌朝は5時半に出発。
鈴鹿スカイラインをちょっと行き過ぎるハプニングもあったが、もどって大河原橋から2~3分入った
林道の脇に車を止めて準備。
40分ほどの林道歩きを。

林道が大きく左にヘアピンを切る手前で赤テープに導かれ沢床に降りる。

澄んだ水。

沢装束を整えて

出発しましょう。

へつったり

およいだり

思い思いに楽しみながら

渓が右に大きく曲がった場所で

この先の堰堤を左岸から巻く。

と、あっけなく15m滝が現れた。

水線右にラインを求めるが
思いのほかヌメリがあり、中段から上がけっこう細かいので

直登はあきらめ、左岸のガレルンゼから巻きました。

その後は、水量、水勢こそ2週間前の赤坂谷に軍配が上がるものの

心潤う風景が続く。

狭いところ、好きです。

快適なのぼりが続く。

先輩のうれしそうな笑顔。
喜んでもらえて、本当に良かった。

詰めのを少しはやく右岸の尾根にのってしまったので
飛び出したのは

この崩壊地。
眺めは良いからまあええか。
稜線上のザレと藪のコンタクトラインに足跡が残っている。
けっこうみんなやっちゃってるみたいww

まぁ、このまま見通しやすい稜線通しなので楽と言えば楽ですが。

そんなわけで稜線の縦走路に20分ほどで飛び出しました。11:00。
暑さを避けて早めの行動開始にしたのがよかったが、稜線上は無風で照りつける日差しにうんざり。

水沢峠から沢通しに下降して、Co720の広い出合で昼飯にする。
焚火を起こしましょうね。

最近は携行に便利なつゆが売ってて重宝しますな。

ちゃっ、ちゃっ とな。

水が旨いと、そうめんもウマイ!

これも旨い水、山の恵み。

気心知れた仲間と楽しむ山行も、たまにはよいものですね!

山の神様、龍神様
今回も受け入れていただき
ありがとうございます。

2015.07.20 鈴鹿西面 愛知川水系神崎川 赤坂谷遡行→ツメカリ谷下降

台風11号が我が物顔で関西を蹂躙した7月の半ば。 7月18日~20日は当初は大峰の川迫川源流に遊ぶつもりであった。

Nangkaは大峰の山々に深い爪痕を残し北東へ去った。
アプローチがあれまくって、さすがに大峰へ深入るのは危険と思われ
全体に出水の落ちつく19日以降に、Nangkaの足跡の薄い鈴鹿方面へ転進することにした。

愛知川水系神崎川 赤坂谷は『関西の赤木沢』と呼ばれる一級の美渓とのことである。
【山行実施日】2015年7月20日
【天候】晴れ(20日)。遡行開始時気温:覚えてません
【メンバー】単独
【装備】フェルトソール・8x30mロープ
前夜のうちに神崎川出合まで車を走らせ、国道からわき道にそれた資材置き場と思しき
草原にて車中泊とする。

揺らめく火と 山の酒と

はかなげな灯りと

翌朝は6時前から行動を開始。
国道沿いの車止めの前に駐車すると、すでにもう一人ソロの遡行者が入渓準備をしていた。
彼はツメカリ遡行→赤坂谷下降と、私とは逆コースのようだ。
林道を40分も上がると、渓からだいぶ上の、林道が大きく左に回り込む直前あたりで
左眼下に赤坂谷の出合が見えた。
神崎川は水量豊か。巨岩がひしめく中を明るいブルーの水がどうと流れている。
この流れを渡渉して谷に入らねばならない。

本流への下降点はわかりやすい。
蛭が一匹、足元で踊っている。
真ん中の木にFixロープが下がっており
導かれるように川床へ下りる。

沢装束を整え、本流に足を浸し
いつもの儀式を。
二礼二拍手一礼
向こう(写真右手の対岸)が赤坂谷出合である。
先行した件のソロ沢ヤさん、ツメカリ遡行と言っていたはずだが
なぜか赤坂谷に入るのが見えた。

本流の左岸を伝い、出合付近で巨岩を飛びながら対岸に替える。

水はあくまでも碧く豊か。
奥のほうも開けているようで、岩の白い輝きもあいまって
明るい沢の予感に心高鳴る。

以降、難しいところはない。
泳ぎを多く交えながら無心に遡る。

淵では時折岩魚の魚影が走る。
尺まではいかないが、なかなかに立派な魚体のものが見受けられる。

晴天の下、翠滴る。

滴る翠、碧水と交わり更に深く

時折、巨岩に座をかりて小休止

地形図ではそろそろ渓も平凡な様相となる。
おそらく緩やかなゴーロだろう。
さすがに食傷気味となるのでこのあたりで休止して
左岸の尾根を詰め、ツメカリ谷へ降渓しよう。

乗越しへの沢筋には、テープが示されていたが

上部がやや不明瞭。
ブタ沢になりかけたところで沢から外れ鞍部を目指す

下降点も赤テープ。
沢型になりはじめた。このまま下る。

やがておりたったツメカリ谷も明るく開けた沢

深い滝壺に数回のダイブを繰り返しながら本流出合に降りた。

ちょっとしたハプニングもあり、やはり渓の神様の存在を改めて意識した沢旅であった。
ともあれ、ご加護いただいていることに感謝をあらたにする。

鈴鹿の渓、美しい。

山の神様、竜神様
今回も素晴らしい邂逅をありがとうございます。