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2015.10.24 南紀 熊野川水系小口川 滝本北谷遡行

南紀。

遠い。

ガイド本では大阪からのアプローチが5時間とされている。
熊野川水系小口川源流域。

奈良の五條からR168を十津川沿いに延々と走らせ川の名前が熊野川と変わる
熊野川町日足の集落で県道44号に入り方向感覚がなくなるようなつづら折りの山道を
さらに1時間。
地図を見ただけで単独での山行を想像すると滅入る。

絶悪なアプローチを越えたこの深山幽谷に
平家の落人が隠れ住まっていた。

追手から逃れ逃れてやっとのことで見つけた安住の地に
敗残の彼らを慰めた何かがあるのだろう。

この24日~25日、滝本の北谷と本谷へのお誘いをいただいたとき
単独では足の向ける気がしなかったこの南紀の隠れ谷に行ける千載一遇のチャンスとばかりに
乗ってみた。

【山行実施日】2015年10月24日
【天候】雨のち晴れ。遡行開始時気温:13度
【メンバー】Chanko他4名
【装備】フェルトソール・8x30mロープ

 

23日PM20:00
近鉄喜志の駅でK谷さんとTN崎さんにPick Upしていただき、まずは
富田林のスーパーで買い出し。それぞれめいめいに3日間の酒と糧秣を整える。
五條を過ぎてR168をうねうねと遡り途中2か所ほどダムサイトで休憩を入れながらも
23:30にはBCとする道の駅 瀞狭熊野川に到着した。
ささやかな入山祝いをしているところにAM1:00頃 E崎さんとY中さんが到着。
AM02:00には就寝し、翌朝AM07:00出発として幕中にめいめい潜り込んだ。

夜中、そぼ降るような雨が空気を湿らせる。

翌朝、垂れこめた低い雲が空に乳白色の幕をかけていた。
すっきりしない天気ではあるが崩れる予報ではないので朝食のあとBCを撤収しまずとにかく
出発。日足集落手前から県道44号にのり延々と1車線の道路を小口川に沿って走る。
1時間で滝本の集落についた。

廃校になった滝本小学校と発電所の中間点当たりの5~6台は止められる駐車地に車を止め
身支度を整える。

08:30頃、駐車地を出発

アプローチの道沿いは秋の気配

夢のあと

引土橋の手前から小学校のわきを抜け、林道に入るが、林道は荒れており車両通行止め。
時折大きな崩壊が迫ってきている。

40分ほどで林道の終点になるが、すぐに大釜を従えた筆藪の滝が眼前に。

K谷さんは釜を泳いで滝身の右側に取り付く。
私は釜を大きく右から回り込み左岸の側壁をトラバースしてとりつく。
中段のテラスに乗り込んでから後続を肩がらみで引き上げる。

K谷さんも上がってきたのだがここからが悪い。
ロープを出してTN崎さんがTOPで突破しK谷さんが続く。
私もロープを出してE崎さんを確保。E崎さんに突破をお願いする。
E崎さんの突破を待って中間八の字でY中さんが続く。
私はラストで回収しながらなんとか落ち口チョイ上にたどり着いた。
ここでいきなり1時間かけてしまった。

乗り越してしばらくは巨石に苔むしたゴーロが続く

やがて本流が大きく右に曲がるその正面に越前谷から落ちる猿手滝がかかる。

本流にかかる部屋滝は両岸を険しい側壁に囲まれた瀑布でまったく手が出ない。
巻きあがる前にしたから釜の前まで出て様子をうかがう。

猿手滝手前まで戻り本流右岸を巻きあがる

と、ナメに飛び出した。

うねるような変化がある、美しく楽しいナメの感触を楽しみながらひたひたと歩む。

そろそろ日が差してきて右岸の側壁が青空を指すさまも雄々しく見えるころに

さらり、とろりと流れる溜湾殿滝。
釜の淵で昼食とする。

昼食を終え、溜湾殿滝を左岸から小巻にあがる

苔むした取水口の跡を左岸に見る。

ゴーロ帯のインゼルを辿りながら進むと見事なケヤキ原滝が現れた。30m。

ついさっき昼食を取ったばかりなのにまた一本立てる一行・・・・
右岸を巻きあがる
ちょっとしたナメのあとすぐに屏風滝。浸食された釜の深さに驚く。

右岸の踏みあとを巻きあがり

再びナメのあと

亀壺の滝

左岸から巻きあがった上が再びナメ。

側壁は早くも傾き始めた陽に照らされてきた

長い長いナメをひた歩むと

やがて遡行終了点の取水堰に行き当たる。

ここでコーヒーブレイク

午前中の雲はすっかり消え、明日に期待を持たせるような秋の青空が高く広がる。

この取水堰からは水路の上の巡視道を行き、南側の尾根を乗り越し

ホタバ谷に沿って再び水路の出口わきに飛び出す。
この出口が滝本本谷の出合いとなるのだ。

本谷を下降しながら左岸の踏みあとを辿ると
分岐の案内表示が出る。

大べら上道方面に本谷川を渡り本谷右岸に沿った踏みあとを辿りながら
ナメラゴ滝上の巡視道を伝い下山。

これがかなりわかりにくかった。
途中から踏みあとが消え、本来であれば本谷の燈明滝を巻き下ってから再び降渓し平維盛住居跡すぐ下
右岸の発電取水口から再び整備された巡視道に入るのだが、我々は不明瞭な斜面でのいやらしいトラバースを続け陽も暮れかけたころに本谷のコッペ滝右岸斜面から、ようやっと20mほど眼下に巡視道を見つけることになった。

結局、きれいで歩きやすい道ではあるが
予定外のヘッデン下山となってしまった。
ともあれ、美瀑・豪瀑とナメが連なり変化にとんだ南紀の渓をこころゆくまで満喫。

南紀、侮りがたし。

山の神様、ありがとうございます。