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2015.10.11 台高 宮川水系 大熊谷第2支流(東俣谷)遡行 

9月から大阪のとある沢登り専門(?)の山岳会の山行に出入りするようになっている。

これから先も長く沢を愉しんでいこうということになると、当然今の自分の技術レベルのブラッシュアップも必要だしそれ以前に自分自身の技量を客観的な評価に照らしていくことが必要ではないかと常々考えてはいた。今回はその会の方々と初めて沢に入ることとなった。

「台高の東俣谷」という連絡があったのは10月7日だった。
ガイド本に載っていない谷の名前なのでスマホで検索して記録を当たってみると
KU会と「さわナビ」の記録ぐらいで遡行記録は検索結果の1P目くらいしかない。
しかしながら、かの「さわナビ」では

『2本の大滝には絶妙の巻き道が付けられているがそれ以外の場所は両岸高い壁でルート取りを間違うと厳しいものがある。それと前半に出てくる2段30M滝は下段は登れても必ず先で詰まるので最初から無理せず巻いたほうが無難だろう。遡行難度は2級+程度だが台高らしさを遺憾なく発揮しており、お勧め度は最上位に値する名渓だと思う。』とある

お勧め度、最上位。

沢の味わいを酸いも甘いも嚙み分けた、あのさわナビの管理人 亀さんをして
こうも言わせる秘めたる魅力に否が応でも期待は高まる。

10月10日夜22時、子供たちを塾に迎えにゆき自宅で下すと

渓道楽親父はそのまま車を一路集合地へ走らせる。
今回ご一緒する YS田さんとYN田さんはすでに集合地点である
カラスキ谷公園駐車場で小宴の最中であろう。
自宅のある大阪は八尾から近畿道⁻南阪奈道を経て166号で高見山をくぐり三重の飯高町に入る。
栃川で422号に入り湯谷川沿いに走る。
栗谷口で鋭角に転じ宮川沿いに遡ること20分、
カラスキ谷公園駐車場には0:20頃に到着した。
丁度YS田さんとYN田さんは車中泊の準備をされていた。
公園駐車場は他の登山者と思しき車も含めいっぱいになっていた。
※このパーティが関西の沢では高名響く『R畑さん(囲炉裏)』のパーティだと翌朝知った。

なにはさて、私もYN田さんの車の後ろに駐車させていただき
車中泊の準備整え入山祝いの一献。

後ろのハッチを開け、しとしととした秋雨のまとわりつくような冷気に
身を清める思いで静かに盃を重ねた。

翌朝は明け方まで昨夜からの雨は少し残っていたが、眼前の宮川には増水も濁りもなく
まったくの平常コンディションと思われる。

 

【山行実施日】2015年10月11日
【天候】雨のち曇り。遡行開始時気温:覚えてません
【メンバー】Chanko,YS田さん(他会)、YN田さん(他会)
【装備】フェルトソール・8x30mロープ

朝食を済ませると、私の車は駐車場に置いたまま
YS田さん車とYN田さん車で一本西にある水谷に沿った八知山林道のCo520の橋まで車を一台
デポしに上がった。

YN田さん車をデポし、YS田さん車で入渓点へ。

入渓点対岸が即駐車場。
まったく無駄がないアプローチ。

渓に入るとのっけから小滝が連続する。

くの字2段15mは水線右を快適に

2段30mはツボすぐ右岸から木の根をつかみながら簡単に巻く

やげて見えるは不動滝2段60m

左岸を巻く。わかりやすい。落ち口の高さで左にトラバースする踏みあとを拾うと
ドンピシャで落ち口に。

まるで、真っ白な宇宙に水が吸い込まれていくような不思議な光景。

20分ほどで次の大滝、夢幻滝3段50m。

右岸ルンゼより巻く。
途中1手2手がすこしいやらしいが
抜けて右へトラバースするとこれもドンピシャ落ち口である。
YS田さんと『巻きまでムダなしとは、この渓、恐れ入った!』と笑う。

滝上しばらく開けた自然林の疎林だが
ほどなく両岸が立ってきて高い嵓に押しつぶされたような廊下に入る。
廊下の奥には見事な巨岩がインゼルのようにはさまったチョックストーン滝が落ちていた。

右手から落ちる滝の滝身右手を苔に注意しながら登り

滝上に出る。

山仕事の小屋跡がありCo540の二股で左股を選ぶ。
苔はさらに深く、鮮やかな緑

源頭の趣を感じさせる渓を歩く

水枯れ寸前のゴーロで一本立てる。
上に白く見えるのが、路肩が崩れた林道。

入渓3時間で林道へ退渓。Co850

Co885あたりで林道をはずし
南東へ流れる尾根芯を拾いながらつづら折りになった林道のショートカットを狙う。
270mを下る。

退渓から1時間ほどで車をデポした水谷橋へ。

車をデポすることで長い長い林道歩きの必要もなく
入渓から退渓までコンパクトな中にぎっしりと楽しく美しい要素が詰まった渓でした。

紅葉はまだ走りでしたが深まった時にもう一度来たい。

それだけではなく、新緑の頃、シーズン前の足慣らしにぴったりですね。

しみじみ、良い渓でした。

山の神様、ありがとうございます。